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5連式動力噴霧機

5連式動力噴霧機(5連式動力噴霧機)とは?

5連式動力噴霧機 MS600F

▲5連式動力噴霧機 MS600F

通常、動力噴霧機には、ピストン式、プランジャー式のいずれもクランク機構を使用するものが多く、シリンダ数によって、1連、2連、3連と呼ばれています。 3連式の動力噴霧機には、ポンプの脈動を吸収するためのエアーチャンバー(空気室)をつけるのですが、5連式にすることでエアーチャンバーが不要になり、よりコンパクトに性能アップをはかることができました。

(1)小型化の秘訣

空気室が消えた!

3連動噴MS413

従来の3連動噴MS413。シルバー部分がエアーチャンバー(空気室)です。

5連式動力噴霧機MS600F

業界初!上下2列配置の5連式動力噴霧機MS600F。スペースを占めていたエアーチャンバー(空気室)が不要になりました。

5連式動力噴霧機では、3連式のようにシリンダ部を横一列に配置するのではなく、上下2段に振り分けました。
上段に3連、下段には2連。これは、3連式動力噴霧機と比べて大きさをコンパクトにしたいと考え、3連式動力噴霧機の設計を改めて一から見直し、プラス2連できるスペースを探し出したのです。
その結果、上下2段に振り分けることにより、横幅を広げることなく小型化・軽量化が図れ、かつ吸水量も大幅に増加させることができました。
加えてシリンダ数が5個になったことで、吐出液の脈動を3連動噴よりも低減させることに成功し、よりお客様の負担を軽減しています。

搭載例

ステレオスプレーヤ

例えば、強力な送風機を使って果樹園に農薬を散布するステレオスプレーヤ。霧状の薬剤をまんべんなく果樹の葉っぱや幹に付着させるためには、せまい園内でもスムーズに作業できることが必要です。 丸山製作所のステレオスプレーヤは、この5連式動力噴霧機の採用で、ステレオスプレーヤ自体をグッとコンパクトにできました。

(2)高性能化のポイント

長時間の運転でも安定した性能を発揮

5連式動力噴霧機 脈動比較図

▲3連式(MS413:下線)と5連式(MS600F:上線)の脈動比較図です。

5連式動力噴霧機は、1本のクランク軸にコンロッドを5個取り付け、コンロッドで上下に割振り5連式にしているのが特長です。 丸山製作所の5連式はピストンの動作順序を見直し、さらにコンピュータで動作解析を行い、位相角度を最適化させました。 これで安定的した性能を確保することが可能になりました。

また、通常3連式の場合は、長時間の運転を続けるとエアーチャンバー(空気室)内の空気が抜けて脈動が増えてしまいますが、5連式はエアーチャンバーが不要のため、長時間の運転でも圧力振動が増加せず、安定した性能を確保できます。 運転途中に空気を吸わせるという煩わしさからも開放されました。

左記のグラフは、動噴が1回転する間の動噴から吐出される水量、排水量の関係を表しています。
排水量と圧力は比例関係にあるため、排水量=圧力の変動としてみることができます。
このグラフからも解るように、5連式の方が山の数が多く、その幅も小さいことがわかりました。つまり、感じる振動の幅が小さく、そして連続して感じられるため、振動がより小さい印象です。
また、変動率も3連式に比べて5連式ではより低くなったため、これがエアーチャンバー(空気室)を無くす上で大きなポイントとなりました。

5連式動力噴霧機ができるまで、さらに、これから。
中西 寿朗

中西 寿朗
株式会社 丸山製作所
千葉工場 量産品事業部 設計一課長

5連式動力噴霧機の開発に取りかかったのは、21世紀に入るか入らないかぐらいの頃でしょうか。小型化と使いやすさも含めた高性能化、環境面への配慮を柱に設計を始めましたが、ちょうど解析ツールが充実してきた時期でもあり、さまざまな試みに挑戦することができました。

もともと、上側3本、下側2本というレイアウトで5連式動力噴霧機を作ろうという発想はあったのですが、苦労したのはクランク軸の設計です。
この5連式の状態を3連式と同じ要領で動かすと、圧力振動が大きく、とても利用できるものではありませんでした。そこでピストンの動作順序を見直し、さらにコンピュータで動作解析を行い、位相角度を最適化させました。この過程が非常に苦労しました。

その他、5連式動力噴霧機にはシリンダ内の水抜きが完全に行えるツインドレンなど、使いやすさを備えたさまざまな機能を搭載しています。

イメージしていたプランがカタチになり、それをお客様に使っていただき、そして高く評価されたときこそが開発者の醍醐味。
「丸山の製品は、ポンプがいい。メンテナンスもしやすい」などの声を原動力に、今後も新たなるチャレンジに挑んでまいります。


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