防除機のトップメーカーとして、農薬散布が安全・安心に行われる機械を提供することは必要不可欠なことであります。近年では農薬に対する社会的な関心が高まる中、防除作業者ばかりでなく、周囲への環境に対しても安全・安心であることが求められています。丸山製作所では特に「農薬散布時の漂流飛散(ドリフト)」のリスク低減を安全・安心の重要課題と認識し、低減対策の立案を関係機関と一緒に取組んでいます。
農薬散布時に散布した農薬が目的のほ場や園地以外に飛散することを“ドリフト“と言います。このドリフトに伴う問題として、近隣住民に対する影響、近接に栽培されている農作物への影響、近隣の公共用水域への混入などが考えられます。さらに、平成18年に施行された食品衛生法の改正では、残留農薬基準がポジティブリスト化され、残留基準値のない作物と農薬の組合せでは、一律基準として0.01ppmと非常に小さい値が設定されているため、飛散による他作物への残留が懸念されています。 このように農薬の飛散は様々な面から問題視されております。
■気象条件:自然風があるときには飛散しやすい。風が強くなるほど遠くまで飛散する。
■農薬の剤型:粉剤は飛散しやすい。
■散布粒径:微細な散布粒子ほど飛散しやすい。
■到達性:遠方まで到達できる散布方法は飛散しやすい。
また、送風機構を持つ散布機では送風量が多いと飛散を助長しやすい。
■ノズル操作:作物体からはなれた位置からの散布、ノズルを振り回したりすると飛散しやすい。
■基本的な対策
1. 風の弱いときに風向きに注意して散布する。
2. 散布の方向や位置に注意する。
3. 適切なノズルを用い、適正な圧力で散布する。
4. 適正な散布量で散布を行う。
5. 使用後の散布器具の洗浄。
■個別の具体的な対策
1. 【液剤散布の対策】飛散低減ノズルの使用
→エコシャワーの紹介
丸山のドリフト低減ノズル
2. 【粉剤の対策】剤型の変更:微粒剤F(日本植物防疫協会HPへ)
→専用ホース(エコマキホース)の紹介
3. 【スピードスプレーヤの対策】送風量、散布操作を適正にし、補正散布を活
用する。
ハイクリブームでは、水稲の濃厚少量散布(25L/10a)を行うことで、ドリ
フトの低減に繋がることが実証されています。
■その他の対策
1. 遮蔽ネットや遮蔽作物、べたがけ資材などの利用
2. 問題となりにくい農薬の利用 → 飛散しにくい剤型(粒剤)、生物農薬等
【関連リンク】
農林水産省(農薬飛散対策技術マニュアル)